朝日新聞の記事からの転載です。
http://digital.asahi.com/articles/ASG9846TVG98TNAB00Q.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG9846TVG98TNAB00Q
<宮崎> 知事側へ300万円、表面化せず 県政の「死角」
朝日新聞 堀川勝元2014年9月9日03時00分
「私の後援会では、そのような多額のものは他に例がない」
河野俊嗣知事の後援会が、県内の産廃会社の元社長側から300万円の資金提供を受けていたことについて、知事はそう述べ、有力な支援者だったことを認めた。
知事によると、元社長と知り合ったのは2010年12月26日の知事選挙の前。支持者にあいさつ回りする際、東国原英夫・前知事の元秘書から「支援者の1人」として紹介された。
知事は8月31日の取材の時点では、知事に当選した後には元社長とは会っていない、と説明。それが、5日に開いた記者会見では、知事就任後も4~5回会ったと訂正した。食事をともにしたり、産廃会社の社員や家族が参加する夏のフェスティバルに参加したりしていたという。
「県内外の政治情勢や、過去のことも含めて話を聞いた。色んな情報を得ることができた」と振り返った。
■氏名は水面下
元社長側から資金提供があったのは11年7月下旬。知事の元政務秘書に現金で300万円が手渡された。その際、元社長は、毎年公開される政治資金収支報告書に個人名を記載する義務がない「会費」での支払いを望んだという。
後援会側は現金を事務所の金庫で保管。本来ならば11年の収入として一括で処理する必要があるが、11年分と12年分の「会費」と、氏名記載の義務がない5万円以下の「寄付」に振り分けて計上した。この結果、収支報告書には元社長の名前は出てこなくなった。
また後援会への資金提供とは別に、産廃会社から知事の元政務秘書の個人口座に毎月10万円が振り込まれ始める。12年12月から今年3月までに計16回、総額160万円に達した。
同年12月11日、県の定期検査で元社長の産廃会社が管理する最終処分場で、水質検査記録の改ざんが発覚した。「柔軟な対応ができないか」。改ざん発覚後、知事は元政務秘書からそのような趣旨のことを尋ねられた、と明かす。知事は「(担当課職員に)どんな基準があるのか、他県の事例はどうか、よく調べて丁寧に対応していこう、とは話した」と説明した。
県は13年3月、産廃会社に30日間の事業停止処分を下した。知事は「国の基準にのっとり、厳正に処分した」と明言。5日開会の県議会でも「資金問題で行政判断を曲げたことは一切ない」と強調した。一方、産廃会社はこの処分の取り消しを求めて県を提訴した。
■処理巡り釈明
知事側と元社長の関係が表面化したのは、朝日新聞の報道がきっかけ。その後、知事自らが元社長からの300万円の資金提供を明らかにした。そのうえで、「会計処理に不適切な点があった」と釈明。「様々な臆測を呼んでいることに深く反省している」と謝罪した。
元社長は新燃岳の降灰処理事業を巡る詐欺事件で今年2月に逮捕、その後起訴された。知事の後援会は「道義的に問題がある」として、元社長の親族に7月3日、300万円の返還を申し出たという。
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河野知事の後援会や元政務秘書への一連の資金提供は、多額の資金提供者の名前が表に出ないように処理されていた。県民から見えない「死角」はどうつくられたのか、知事や後援会の証言などをもとに迫る。(堀川勝元)
<おわり>