「造成工事」と称されるもの、それは安定型最終処分場ではないのか…?
■ 3種類の最終処分場
廃棄物を埋立する最終処分場には次の3種類がある。
① 管理型最終処分場
最も一般的な最終処分場で、底部、側面には遮水シートを敷く等の「遮水工事」をして、さらに浸出水を集水して無害化できる汚水(浸出液)処理設備が必要である。
基本的にフェロニッケルスラグは「金属鉱さい」なので、処分する場合、この管理型最終処分場で最終処分しなければならない。
② 遮断型最終処分場
有害物質(重金属等)を含む産業廃棄物で、固化処理など、不溶化対策ができないものに適用する。上部には屋根を設け、側面、底部はコンクリートで完全に遮断する。また埋立終了後はコンクリートで完全に蓋をする。
「金属鉱さい」においても、基準を超える有害物質が検出される場合には、この遮断型最終処分場にて最終処分しなければならない。
③ 安定型最終処分場
ガラス・陶磁器くず、金属くず、廃プラスチック類、建設廃材、ゴム類など「安定5品目」に限定されていて、埋立による浸出水がない事が前提となっている。構造的には、崩壊を防止するえん堤を設ければよい。つまり安定型最終処分場は「穴掘って埋めちゃえ」方式、直接埋土なのだ。
法律には「安定5品目」に加えて、「環境大臣が指定したもの」という6番目の項目がある。僕はこの点について環境省に電話で確認した。スラグ化した金属鉱さいであっても、現在この「環境大臣が指定したもの」にはなっていないそうだ。
⇒「日本産業廃棄物処理振興センター」
■2つの問題
ここで確認しておかなければなない事が2つある。
まず、フェロニッケルスラグは安定型最終処分場で埋め立て処分することはできない。言い換えれば、「直接埋土してはいけない」ということになる。「遮水処理+汚水処理設備」、場合によっては「完全遮断」すべき物質、ということだ。
ところが、これを事業者は直接埋土している。
まったく同じ物質が、「製品であれば直接埋土可能」である一方、「廃棄物であれば直接埋土不可」という扱いになっている。これは完全な矛盾ではないか。
そしてもうひとつ。
最終処分場はその設計から運用、跡地利用に渡って「永久管理」が必要になる。何かがあった場合、誰かが対処する責任が永久に続く、ということだ。
そのため最終処分場の運営は、公営もしくは都道府県が許可した民間事業者に限られている。産業廃棄物の場合は民間事業者=産廃事業者が行うわけだが、都道府県はこの産廃事業者に対して強い監督権限と指導責任をもっている。
ところが「造成工事」の場合、地権者が大量のフェロニッケルスラグを購入した事になる。つまり、その責任はすべて所有者である地権者にある、ということだ。
僕の主観では、この「造成工事」は安定型最終処分場に酷似している。
これを個人が「永久管理」しなくてはならないのだ。
(ダンプカーの大きさを考えると、どれだけ大量のスラグが埋まっているか…)
⇒「その土地はどこへ」
⇒「無過失責任」
<③につづく>