■尊厳と経済
5月20日、日本記者クラブにて翁長沖縄県知事の共同記者会見があった。
翁長知事は「辺野古移設が唯一の解決策だ」とする安倍政権を批判、基地建設阻止に向けて精力的な活動を続けている。自ら米政府に働きかけるため現在渡米中であることは承知の通りだろう。
その記者会見の中で翁長知事は大変興味深い言葉を提示した。
「誇りある豊かさを」
沖縄は長年、分断されてきた。経済中心の自民党保守派と基地反対の革新派が真っ向から対立する激しい選挙戦を展開していた。しかし、市民の内情はそう単純ではない。経済中心の保守派が「喜んで基地賛成だ」などとは思ってもないだろうし、基地反対の革新派が「カネなんていらない」とも言い切れないのが実情で、そのどちらかを選択しなければならない沖縄県民の心中は察するに余りあるものだったと思う。
ところがこの10年、中国をはじめアジア諸国の経済成長により沖縄経済もIT、観光、物流などを中心に今後大きな成長が見込まれる時代になった。「基地は沖縄経済の最大の阻害要因だ」と知事は言う。
「誇り」とは革新派が大事にしてきた人権や尊厳であり、「豊かさ」とは保守派が大事にしてきた経済や生活、その二つがやっと両立できる時代になった、それが「誇りある豊かさを」という言葉の意味だ。
沖縄が目指す「誇りある豊かさを」。
では、本土に住む僕たちは、はたしてこれを実現できているのだろうか?
僕は今、その事を一度考えてみる必要があると思うのだ。
「ここはフェロニッケルスラグ問題を考えるブログなんじゃないの…?」
少し遠回りになるが、話はそこに必ずたどり着く。
日本で起きる様々な問題、基本フレームはいつも同じなのだ。