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2014年11月25日火曜日

産業廃棄物と闘うひとりの主婦 ⑥


(環境省から放射性廃棄物の処分場に指定された、宮城県加美町の住民反対運動)




「人生の重大事」というのは、突然、それも何の前触れもなくやってくる。

自分の目の前に現れた、厄介でシビアな現実。

「どうすればいいのだろう…?」

その時僕らは、人間としての本質を問われる場面を迎える。



ツイッターとブログで知った、黒木さんの産業廃棄物問題。

2年前、突如目の前で始まった「造成工事」、ダストが飛び散り、子どもたちの咳が止まらない。現場に立ち入ってみると、そこには地元の有力企業が排出した「フェロニッケルスラグ」が、大量に山に埋められていた。

こんな現実が、突如現れたら、あなたならどうするだろう…?

彼女のブログには、曖昧な事しか言わない事業者、逃げる行政、黙殺する地元新聞、陰湿な報復、沈黙していく住民…、そんな地方の実態がよく描かれている。「誰もわかってくれない」、それでも彼女は抗議を止めなかった。

繰り返される彼女の言葉はシンプルだ、それが次第に、ボディーブロウのように響いてくる。切実さが伝わってくる。「責任取ってください」、家族のためにそう叫ぶ彼女の姿は、女としても母親としても、最高にカッコいいじゃないか、僕はそう思う。


ネットメディアのIWJが、黒木さんを直接取材した記事がアップされている。ぜひ、読んでみてほしい。

【IWJルポルタージュ】宮崎県日向市在住の主婦をめぐる裁判はSLAPPなのか?! ~黒木睦子さんと日向製錬所を直接取材(前編)







「フェロニッケルスラグが山に埋められている」

これは現実だ…、とすると数々の疑問が浮かぶ。

この「事業の目的」は何なのだろう…?

「土地造成」なのか、それとも「産業廃棄物の埋土」なのか?

「土地造成」とするなら、なぜフェロニッケルスラグを埋める必要があるのか?位置的にそれほど利用価値のないこの山林を、何の目的で「土地造成」するのか?地権者はフェロニッケルスラグを購入したのか…?

逆に、「産業廃棄物の埋土」だとするなら、これは「産廃処分場」なのか?許可は得てるのか?環境対策はされているのか…?

そして、フェロニッケルスラグは安全なのか…???

今後、少しづつこの検証を進めたいと思う。




(「決断」とは「和解」のこと、唐突に子供の話題を上げ、和解を迫っている)


現在、黒木さんはツイッター上で複数の「関係者らしき」人間から、このような悪質な「嫌がらせ」を受け続けています。

もし、彼女のツイッター(@mutsukuroki)を読んで、ご自分の判断で彼女を信用し、応援できるようでしたら、ツイッターのフォロワーになってあげてください。よろしくお願いします。


<⑦につづく>

2014年11月21日金曜日

産業廃棄物と闘うひとりの主婦 ⑤



"TRUST ME AT YOUR OWN RISK"


「AもAだけど、BもBだよ。」

こういう感じの人が、僕たちの周りにはたくさんいる。もちろん僕自身も、多分に漏れず、こんな「中立」を装う事は少なくない。

「中立」は何より安全である。そして簡単だ。否定していれば、それで済む。物事を理解する必要もないし、何かを主張する必要もない。そして、何かを信用する事も、必要ないのだ。

社会に出ればこの「中立」というポジションが、いかに役立つか、身にしみてわかる場面も少なくない。何か信用することは、立場を取る事、そして責任を負う事である。場合によっては敵を作る事にもなる。

その反面、いつのまにか僕たちは、中立を優先するあまりに、何かを「信用する能力」をロストしてしまったのではないだろうか…。



「新聞が…」「国が…」「○○さんが…」

「信用する能力」をロストしたときから「鵜呑み」が始まる。「鵜呑み」は「中立」と同じぐらい楽で無責任だ。だが「鵜呑み」がもたらす無責任は、いつか自分に還ってくる、そういう時代になったのだ、と、そう思う。

当り前のことだが、信用とは懐疑から始めるべきだ。

「信用しようとする事柄」に対して疑問を想起し、自分の知識と知見、さらに新たな検証を加えてその疑問を消去していく、信用とは、こんな作業の繰り返しだと思うのだ。

そして、これらの作業へのモチベーションとして機能するものが、僕の「人間としての倫理」だと自覚している。







最初に、大前提の事実確認をしなくちゃいけない。

宮崎県のHPに以下の記述がある。


平成24年10月に、「グリーンサンド」で土地造成された西川内地区周辺水域の水質検査(略)を実施しました。

「グリーンサンド」とはフェロニッケルスラグの製品名のこと。

黒木さんが主張する「造成工事」は実在する。

「大量のフェロニッケルスラグが山に埋められている」

これは紛れもない事実なのだ。



<⑥につづく>



2014年11月19日水曜日

産業廃棄物と闘うひとりの主婦 ④






「の~んびり、田舎暮しでもしようかな~。」

東京郊外の住宅街、非人道的な満員電車の中で、こんな妄想にふけて、現実逃避をしているのは、きっと僕だけではないだろう。

しかし、それがいかに「非現実的な妄想」であるか…。

黒木さんの書いたブログには、地方の現実がよく表れている。



彼女の書いた文章は、「少女マンガ」みたいな感じがする。

「いつ」「どこで」「何をしてる場面」…、そんな構成要素、いわば「マンガの背景画」みたいな部分の記述が少ないので、これを記録として読もうとすると、少々解かりにくい部分がある。

その反面、「誰が」「何を言った」という記述はしっかりしている。まるで「マンガの登場人物」が大きいコマでセリフを語るように、言葉のやりとりがしっかりと記述されている。

この感じは、特に黒木さんだけでなく、多くの女性の文章や会話の中に表れる「共通の特徴」ではないかと僕は思っている。一般に「表象の事実認識」にフォーカスする僕たち男性には、若干の翻訳作業が必要なのだ。

「彼女は、何を思ってこれを書いているだろう。」

これを、インプットしておかないと、彼女の文章の本質は見えてこない。






彼女は一生懸命に書いている…、僕はそう思う。

うわべだけでザッと読むと、毎回同じように感じる話の数々、決して一般的に読みやすいとは言えない文章、きっと彼女自身も、「伝えきれていないことの多さ」に、歯がゆい思いをしているのではないだろうか。

PCやスマートフォン、ブログやツイッター、そんなツールを流暢に使いこなして、日常をエンジョイしているタイプの人には、どうも思えない。作業には随分と時間や手間がかかったのではないだろうか。

「彼女は、何を思ってこの文章を書いているのだろう…?」

僕は想像してみた。

… この人は、悲しいのかな・・・。



人には慣れ親しんだ土地がある。

日本全国にある、名前も知らない山や川。通りすがりの人間には一過性の風景かもしれない。しかし、そこに暮し、生活を営んできた人間にとって、それは「かけがえのない郷土」、大切な自分の一部なのだ。

そこへの愛着の深さは、僕のような人間には推して知る由もない。

「フェロニッケルスラグが、目の前の山に埋められている」

彼女はそれがイヤなのだ、耐えられないのだ、僕はそう思う。

きっと悲しいだろうな…、と。

これはその土地に暮らす人間の「尊厳の問題」なのだと思う。



彼女の文章によって少しだけ現状を知った僕が

「これをどう判断するのか」

これは僕自身に問われた「倫理の問題」に他ならない。

証拠や調査、そしてロジック、そんなものは後からでいい。





<⑤につづく>

   ★ 黒木さんのブログは証言の塊、今後少しづつ取り上げていきます。

2014年11月16日日曜日

産業廃棄物と闘うひとりの主婦 ③







「いつの間にか僕は、励まされていた」



それまで、ツイッターは僕にとって単なる「読み物」だった。

配信されるニュースや、何人かの「気に入った」個人のコメント、不意の事故や天災についての情報、それを読むだけのメディアだった。

ある意味、僕のタイムラインは目的に沿って整頓されている。

そこに、誰がリツイートしたのか、ある女性のツイートが飛び込んできた。

「ゴミは持って帰ってください」

… 何だろう、これ…?

初めて見た黒木さんのツイート、今年の3月の事だった。



ツイッターには「タイミング」という、縁のようなものがある。

膨大な情報が寄せられてくるタイムライン、もし時間が1時間でも違っていたら、僕が彼女のツイートを見ることはなかっただろう。

それからも数日に一度、彼女のツイートは僕のタイムラインに現れた。

「知事はなぜ会おうとしないのですか」

東京郊外の通勤ラッシュ、配信されるニュース、コラムニスト…、そんな環境で見るツイッターの中で、彼女の言葉は、おびただしい生々しさを放っていた。「きっとこの人は本気なんだ」、そう思った僕は、彼女をフォローすることにした。







それでも、僕にとって彼女の話は他人事、ツイッター上での「読み物」のひとつに過ぎない…、僕自身がそう思っていたし、そのはずだった。

「製品じゃないです、ただのゴミです」

フォローを始めて、連日見かけるようになった彼女のツイート…。いや違う、正確にいうと、「見かける」のではない、僕は自分から、彼女の言葉を探すことが日課となっていた。

「ゴミはもって帰って、自分の前に積んでください」

こんな「人間として当たり前」のことを、
なぜツイッターで叫ばなければならないのだろう…。



彼女は膨大な理不尽を抱えている…、僕はそう思った。

そして中身は違うけれど、同じような理不尽を僕も抱えている。

もしかすると、この理不尽は、日本中に蔓延しているのではないか…。

「責任取ってください」

そう言いたい相手が、この国に何人いるだろう…。



… 言うべきことは、言わなくちゃいけない。

いつの間にか僕は、彼女の言葉に励まされていた。


そんな感情がリンクして、すっかり他人事ではなくなってしまった僕は、事の真実が知りたくなって、彼女のブログを読むことにした。


<④につづく>

2014年11月14日金曜日

産業廃棄物と闘うひとりの主婦 ②







こんにちは、ボーンズ88です。

黒木さんの初公判(原告 (株)日向製錬所)の速報です。

今回の公判を傍聴された笹田惣介さんのツイートです。





今日は第1回、口頭弁論という事で、原告((株)日向製錬所)からの提出証拠や被告(黒木さん)からの答弁書の確認、また今後の裁判のやり方などについて話し合われたようです。

次回、第2回公判は1月22日に決まりました。


今日の裁判に、黒木さんはひとりで立ちました。

傍聴人は36名(満席)、報道が5社来ていたそうです。

また裁判の後、有志者による「支援の会」ができました。

代表になられた日南市在住の三浦ばんしょうさん(@HCR_OPCOM)は、何と1週間、裁判所の前でハンガーストライキを実行されました。




すごいですね、ありがとうございました。


産業廃棄物問題をひとり訴えてきた黒木さん、「支援の会」もできて、これから解決に向けて少しづつ進んでほしいと思います。

ツイッターのフォロワーも15000人になり、大きな反響を呼んでいます。このことは日向市も宮崎県も知っているそうです。報道も5社集まりました、どんな報道になるかチェックしていきたいと思います。

今回は、(株)日向製錬所が「スラップ訴訟」を起こしたことが、逆に人々の関心を集める大きな契機になったのではないかと思います。



とはいえ、問題は山積みです。

(株)日向製錬所は「フェロニッケルスラグは無害だ」と主張しています。

しかし、黒木さんが自主的に検査した数値の環境汚染が進行していけば、短期間のうちに、確実に人体に影響が出るでしょう。

人が病気になってからでは取り返しがつきません。

有毒物質に汚染された山や川は、取り戻すことができません。

僕にも何かできることはないか、考えてみたいと思います。







<③につづく>

2014年11月13日木曜日

産業廃棄物と闘うひとりの主婦 ①





こんにちは、ボーンズ88です。

今回はお知らせしたいことがあって、これを書いています。

まずは、このツイートから。




「ええっ~、これ、どういうことなの…?」

宮崎県日向市にお住いの主婦「黒木さん」のツイートです。

近隣の山に、ある日突然「フェロニッケルスラグ」という砂状の物質が、大量に投棄され始めました。

「『フェロニッケルスラグ』って、一体何なの…?」

「ステンレス」ってあるよね、錆びにくい金属製品。そのステンレス鋼材の材料が「フェロニッケル」、で、天然の鉱石から「フェロニッケル」を取り出した、副産物を「フェロニッケルスラグ」っていうんだよ。

日向市にある「(株)日向製錬所」という工場がこれを造っていて、「(有)サンアイ」っていう運送業者がこれを山まで運んで投棄しているんだ。

その様子、動画で見てみましょう。




「この『フェロニッケルスラグ』は有害なの…?」

排出元の(株)日向製錬所は「無害だ」と言ってるんだよ。

でも、現地は「粉じん」がすごくて、黒木さんもお子さんも「咳がとまらない」って訴えてるんだ。動画からも雰囲気はわかりますね。

で、このツイートみて下さい。





「ええっ!ヒ素50倍とかって…。」

そうなんだよ。これは近くの川の様子。




「なんか、白く濁ってるね…。」

この川の水は下流の田んぼや畑で使われていて、さらに日向市内を流れる大きな川につながっているんだよ。


主婦の黒木さんは当初、運送会社の「(有)サンアイ」や排出元の「(株)日向製錬所」に訴えたけど誠意ある回答は全くもらえなくて、日向市役所市議会議員、さらに警察宮崎県庁まで行ったんだけど、これも全然ダメ。地元の新聞社にも無視され続けたんだ。

「ええっ~、ひどいね。」

それで、事実をブログに書いて、ツイッターを始めたんだよ。

そうしたら逆に、「ブログとツイッターを削除しろ」って、(株)日向製錬所と(有)サンアイから名誉棄損で訴えられたんだ。

「えええっ~~!!」





(株)日向製錬所は、同じ宮崎県で「土呂久ヒ素公害」を起こした大企業、「住友金属鉱山(株)」の子会社です。

近年、こうした「大企業が個人を黙らせるために裁判する」ケースが日本で多発しています。このような裁判を「スラップ訴訟」と言います。

主婦の黒木さんは、弁護士をつけず、ひとりで裁判に臨みます。






僕からお願いがひとつあります。

黒木さんのブログ
「宮崎県日向市 産業廃棄物のゴミの山が目の前で非常に困っています」
黒木さんのツイッター
@mutsukuroki

これを読んで、内容を信頼し、応援できるようでしたら、「ツイッターのフォロワー」になってほしいのです。

「黒木さんの行動を多くの方が見ている」

それが企業へのプレッシャーになり、黒木さんの力にもなるはずです。

もうすぐフォロワーは15,000人を超えます。

よろしくお願いします。


<②につづく>