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2014年11月16日日曜日

産業廃棄物と闘うひとりの主婦 ③







「いつの間にか僕は、励まされていた」



それまで、ツイッターは僕にとって単なる「読み物」だった。

配信されるニュースや、何人かの「気に入った」個人のコメント、不意の事故や天災についての情報、それを読むだけのメディアだった。

ある意味、僕のタイムラインは目的に沿って整頓されている。

そこに、誰がリツイートしたのか、ある女性のツイートが飛び込んできた。

「ゴミは持って帰ってください」

… 何だろう、これ…?

初めて見た黒木さんのツイート、今年の3月の事だった。



ツイッターには「タイミング」という、縁のようなものがある。

膨大な情報が寄せられてくるタイムライン、もし時間が1時間でも違っていたら、僕が彼女のツイートを見ることはなかっただろう。

それからも数日に一度、彼女のツイートは僕のタイムラインに現れた。

「知事はなぜ会おうとしないのですか」

東京郊外の通勤ラッシュ、配信されるニュース、コラムニスト…、そんな環境で見るツイッターの中で、彼女の言葉は、おびただしい生々しさを放っていた。「きっとこの人は本気なんだ」、そう思った僕は、彼女をフォローすることにした。







それでも、僕にとって彼女の話は他人事、ツイッター上での「読み物」のひとつに過ぎない…、僕自身がそう思っていたし、そのはずだった。

「製品じゃないです、ただのゴミです」

フォローを始めて、連日見かけるようになった彼女のツイート…。いや違う、正確にいうと、「見かける」のではない、僕は自分から、彼女の言葉を探すことが日課となっていた。

「ゴミはもって帰って、自分の前に積んでください」

こんな「人間として当たり前」のことを、
なぜツイッターで叫ばなければならないのだろう…。



彼女は膨大な理不尽を抱えている…、僕はそう思った。

そして中身は違うけれど、同じような理不尽を僕も抱えている。

もしかすると、この理不尽は、日本中に蔓延しているのではないか…。

「責任取ってください」

そう言いたい相手が、この国に何人いるだろう…。



… 言うべきことは、言わなくちゃいけない。

いつの間にか僕は、彼女の言葉に励まされていた。


そんな感情がリンクして、すっかり他人事ではなくなってしまった僕は、事の真実が知りたくなって、彼女のブログを読むことにした。


<④につづく>